グローバル企業の変遷を、特にモノと情報という視点で辿ることで、現在のITプラットフォーマーの動きの傾向を理解することができます。
第一世代はバブル期の日本に典型的にみられるような、ものづくりを基盤とした企業群です。モノづくりの精度と流通のネットワーク、技術のパッケージ化で90年第前半までの世界を主導しました。ところが第二世代のGoogleやYahooのような企業群は、検索編集アルゴリズムとデータベース構築を通して情報プラットフォーマーとしての地位を確立しました。この時点で社会のトレンドは、一気に情報側に傾き、主にものづくりを基盤とする日本企業は乗り遅れます。一旦トレンドは純粋な情報側に触れますが、その後AmazonやAlibabaをはじめとする第三世代が台頭してきます。第三世代の企業は情報プラットフォーマーとしての技術と知見を基礎にしながら、物理世界のモノの所有や属性を情報的に編集することで新しいプラットフォーマーとしての価値を持ちます。第三世代では情報的に扱えるモノが主に点としての可動産に限られていたのに対し、第四世代の企業は既存の都市環境に既に存在する(準)不動産を、情報的に編集するプラットフォーマーとして台頭します。Uber、Airbnb、WeWorkなどの企業が該当しますが、それぞれのサービスは単一領域に閉じています。ベンチャーの生存競争の中で最初のブレイクスルーを単一領域に絞らざるを得ないという投資視点での傾向とあわせて、現実の物理社会が複合領域を情報的に扱うにはまだ複雑すぎるという現実も重要な要因となっています。
次の第五世代では、既存の都市全体を対象として、複合的な物理領域を情報的に編集・移動・売買する、実社会を複合的に扱う情報プラットフォーマーが志向されます。ただし、実社会で随時変化を続ける多様な情報を常時情報的に取得・記述して処理するのはまだ現代の技術では難しく、主要な課題は情報側の技術課題ではなく、モノの情報的記述、スキャンやセンシング、シミュレーションなどを通したモノの処理と情報抽出になってきます。この視点で、第一世代が持っていたモノの製造や取り扱いに関する知見の体系と、第二~第四世代が持つ情報処理技術との融合が大きな社会課題になりつつあります。昨今次世代型のスマートシティが大きく注目を集めているのは、こうした複合的な接続領域の実装環境価値が集約されていることによります。
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